沖縄のニィニ その1

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金城 正夫(仮名)さん 65才 

心の中で勝手にそう呼んでいる。

大阪に出てきて30年以上になるらしいが関西弁じゃない

柔らかぁーなイントネーション。うん、沖縄っぽい。イメージ的に

赤茶けた肌や髪は沖縄の潮風。イメージ的に。
65才だもんなぁ。介護保険サービス利用1年生だもんなぁ

若いわ。

ニィニがお使いのサービスは浴室とトイレ掃除。週2回、45分未満の家事援助。

通院なんかの同行援護は介護保険サービスには含まれないため、引き続き障害福祉サービスを受けています。   
 6畳の部屋に万年床、ベッドなし。テレビなし。時計もカレンダーもない。あるのはプラスチック製の4段カラーボックス。かなり昭和モノ。しかしそこには鮮やかなオレンジ色のバスタオルが20枚、美しく収納されている。   

ニィニはマッサージ師なのだ。バスタオルは商売道具なのだ。 それにしても台所。コンロ台にガスコンロは無く、代わりに空き缶(缶チューハイ500ml)がびっしり。まさか一晩で?  流し台の下、押し入れの中にはお徳用サイズの焼酎やウィスキーがズシッとズラーリ😲❕   そういやいつも赤ら顔。日焼けかと思っていたが酒焼けか⁈   

そんなニィニの趣味が、なんと献血。 「押入れの左、開けてみぃ」「はい」。どーせ酒しか入ってない・・・・?ん?30センチ幅の洋菓子箱。お菓子をくれるのか?

「菓子箱あるやろ?開けてみぃ」。はーい、開けまーす「うわっっ」  

「なぁ。オレの献血の歴史よ。感謝状も入っているやろ?」。はい。確かに。 「でも金城さん、なんで献血なんか。痛いだけじゃないですか。」  「アンタ、人に自慢できるものあるか?」

「・・・・。」

「オレはコレよ」「献血に行ってみ。みんなが、ありがとう、ありがとうって言うてくれるよ。酒飲む以上に気持ちがええよ」と顔じゅうで笑った。  

 今日もどこかで献血車。今日もニィニが白杖ついて現れる。 言い忘れてましたがニィニは全盲です。 ありがとうございました。


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