裸足の伯爵令嬢

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遠山 史子(仮名)さん  86さい  趣味:伯爵令嬢

高架の脇、6件続きの小さな建売住宅が向かい合ってここに建てられたのは昭和55年だったという。

「いらっしゃい。さぁ、お上がりになって。」玄関に,どうにか体を押し込んで「こんにちは」。

左手下駄箱の上には、曇ったガラスケースの中に昭和時代の旅の土産と思しき焼き物の人形や,キーホルダーや置き物がぎっしり詰まっている。   

ゆるキャラの元祖といえなくもない。

「亡くなった母が寝たきりになる前は、あたくしたち二人よく温泉に行きましたのよ」

遠山様がガラスケースを覗き込みながら目を細める。  土壁の居間、石油ストーブ。

懐かしい匂い。

「父は早くに亡くなりました。母方の家は爵位をもっていましたの。わかる?」「つまりあたくしは若い時分から母を守るために一生懸命働かなければならなかったの」「結婚もしませんでした。」黒いファー付きカーディガンの、丸くて大きな金ボタンがまぶしい。

「ところで遠山様、デイケアサービスでのリハビリは順調ですか?」「「ええ、おかげさまで。張り切って運動しております」「そうだ!宿題が出てたんだわ!」。おもむろに黒い厚手の靴下を脱ぎ始めた。(´・ω`・)エッ? なに?❔❔ とすかさず「あなたもお脱ぎなさい。」えっ?(;゚Д゚)わたくしも?⁈「さぁ、両足を前に出して。」あ、はい……💦

「はい、グーッ!!」   「足の指を丸めるのよ」「こんな風に」「グーッ!!」

 (;゚Д゚)あっ、はい。 

「次ははさみのチョキ!!」「そうそう」。「で、最後パーね」「パー―ッ!!って、できるだけ足指を広げるの。はい、やってみて」

パーッ!! 

「あっ、い、痛い・・・。足、つりそうですぅ( ;∀;)」

「オホホホホッ~。ダメねぇ。」「でも最初だからね」「毎日コレ、するといいわよ。躓かなくなるの」「一日10回2セットね」「できる?」

「あー、はい・・・」( ;∀;)

「じゃあ、せっかくだからジャンケンしましょう」

えぇ――――‼

「行くわよ!ジャンケンほいっ!!」「あら、負けちゃった。」「もう一回!ジャンケン…………」

7回目で丁重にお断り致しました。

今日も裸足でグーチョキパー。転ばないよう気をつけてください。

裸足の伯爵令嬢。ありがとうございました。


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