閑静な住宅街の一角にある藤田邸。訪問時はいつも茶室に通される。
椎間板ヘルニアには正しい姿勢を保つことが大事であるとのこと。茶室で正座をしてのモニタリングを行っています。茶道の先生である奥様も同席されることが多いです。ＳＮＳがご趣味の藤田様は自室にこもりがち。何時間もパソコンの前に座っているため首や肩に負担がかかり、よけいに痛みが増悪します。訪問者があるときくらいはと茶室で正座をするわけです。
介護保険にてご利用のサービスは週に1回の通所リハビリのみ。週1のリハビリだけでは筋力の向上や痛みの緩和は望めないため、通所時は専門職の方に自宅でできる運動・体操などを教わり家でも毎日トレーニングをしていただくようお願いしています。「それがなかなか定着しませんなぁ。新型コロナで散歩にも出かけませんし。」確かに。大阪府民への不要不急の外出自粛の要請は延長されましたし。奥様の茶道教室も現在お稽古をつけておられない様子。
と、目線を床の間の掛け軸にやりますと・・・！
なんとお軸の文字は「日々是好日」
「なんで？」この新型コロナ蔓延の最中に「なんで？」と思わず非難めいた声を発したケアマネ(私）に後方から奥様の柔らかい声がした。「これはね、どんな日も、一日一日をあるがままに受け入れる、という意味もあるんですよ。」へぇー、そうなんや。知らなかった。
なんかちょっと恥ずかしい気持ちになって俯いて目線を水差しにやると、睨みを利かしたオッサンの顔。「怖そうな顔してますね」「それは鍾馗さん」「しょうきさん？」「そう。鬼より強い鍾馗さん。この人は邪気とか疫病を除き去ってくれはるんよ。」へぇー、コワモテやけどヒーローなんですね。
ご主人も「鍾馗さんは五月人形にもなってます。端午の節句にね。」 「そうですねん。この水差しも、せやから、本来なら五月に使うんですけど。何卒この世界に蔓延してるコロナウィルスを祓ってほしい思うて。この大阪の小さな町の片隅からも祈ってますねん。」
出番でっせ鍾馗さん‼ 日々是好日。
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